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Trick or treat!!

「いってきま〜す!!」
自宅の近所に毎朝迎えに来るスクールバスまで子供たちを見送る。
「いってらっしゃ〜い、気をつけてね〜」
心配そうに、そして、やさしく微笑みながら、
スクールバスに乗り込む子供たちに手を振る。

子供たちを見送り、一息ついた後、洗濯をしようと
ソファーから立ち上がった途端、電話が鳴る。
「もしもし?」
『ハローマリュー♪、子供たち学校ちゃんと行った?』
 その声の主は、子供たちを送り出す少し前に、
仕事に送り出したムウだった。
「もぉぅ、まだ仕事始まって1時間しか経ってないじゃないの…。
 仕事は平気なの?」
『ああ、大丈夫、大丈夫。今外回りだから。
 それより、調子の方はどう?』
「大丈夫よ。まだ予定日まで1週間あるし。」
『そっか、よかった。でもあまり無理すんなよ…。
 今日も早く帰るからな。』
マリューはムウの今4人目の子供を身ごもっている。
そんなマリューを心配してか、ムウはいつも電話をかけてくる。
『じゃぁな。あ、なんかあったら電話くれよな。すっ飛んで帰るから。』
「ええ、ありがとう。」
そんな彼の気遣いをありがたく思いながら、電話を切った。

洗濯や洗い物をすませ、お昼の準備をしていると、また電話が鳴った。
「はい〜はいはい」
ぱたぱたと小走りで電話の元に急ぎ、電話を取った。
『もしもし、マリュー?』
「ええ。」
またも、ムウからだった。
『今日もお弁当、すっごくうまかったよ〜♪』
「はいはい、ありがと。」
ちょっと投げやりに答えると、
『あ、ごめんもしかしてなんかタイミング悪かった?』
「そんなことないですよ、ただ、今お昼の準備しているのよ〜」
『あっ、そっか。ごめんごめん。ちなみにお昼なぁに?』
「ムウのお弁当と一緒よ♪」
『ああ、今日のから揚げサイコーだったよ〜
 やっぱりマリューお嫁さんにして正解だなぁ。』
「もぉう、いきなりなにをいうのよ〜」
『もうすぐお昼休み終わるけど、まだ話してたいなぁ〜』
「ちゃんとお仕事しないと、子供たちが路頭に迷っちゃうわよ。」
『う〜そんなわけには行かないから、またかけるよ、じゃあね。』
「はいはい、お仕事頑張って」
『うん、マリューと子供たちの為に頑張るよ。』

気付くと時計の針は3時を回っていた。
「え〜、どうしましょ、もうお迎えの時間だわ」
お昼を食べ終え、子供たちのおやつ作り終えた後、
ソファーでお茶を飲みながら新聞を読んでいたら
いつの間にか寝てしまったらしい。
急いで支度をすると、子供たちの待つスクールバスの待合所に急いだ。
玄関をでて、出入り口のドアを見渡すと頭が3つ。
お迎えが遅かったから3人で帰ってきてしまったのね、と思いつつ、
ひょっこり覗いている頭に向かって、「おかえりなさ〜い」と声をかけた。
しかし、子供たちは出入り口の門でなにやらこそこそと話しているようだ。

「???どうしたの?」
門に近づくと、いきなり子供たちが笑顔で飛びついてきた。
「Trick or treat!!」
娘達は色とりどりのお菓子の袋をぶら下げ、
かぼちゃをくりぬいたジャック・オ・ランタンを持っている。
マリューはちょっとびっくりして後ずさったが、良く見ると、
娘たちが魔女やくろねこ等の扮装をしている。
一番上の娘、サラがマリューの驚いた姿をみて、ちょっと心配そうな顔をする。
「あらあら、かわいいわねぇ〜」
娘たちの目線まで軽くしゃがみ、心配そうな顔をちょんとつつきながら言った。
そして、はっと何かに気付き、娘たちに笑顔で話しかけた。
「ちょっとまっててね〜」
小走りで家に戻ると、小脇に小さな袋をいくつか抱えて戻ってきた。
「はぁ〜い、焼きたてのクッキーよ」
と娘たちに先ほど作ったクッキーを渡す。
「「「わぁ〜ままぁ、どうもありがと〜」」」
3人とも「やったね」と顔を見合ってから、マリューに笑顔を返す。
そんな姿を見て、ああ、ムウがこの娘たちを見たら
とろけるような笑顔でハグを繰り返すんだろうななんて考えてみる。

とすると、そんな思いを知ってか知らずか、
遠方より見慣れた金の髪の男が自転車でこっちに向かってきている。
ムウのセンサーが働いたのか、必死の形相で
自転車を漕いで家の前までやってきた。
それに気付いた末の娘、ミーシャがふりかえり、
「あっ、ぱぱだぁ〜」
と自転車を漕いで汗だくになっているムウに走り寄った。
「あぁ〜、ミーシャどうした?魔女っ子だなぁ〜」
黒い紙で出来たトンガリ帽子に黒いワンピースの魔女っ子な末娘に目を落とし、
すっと抱き上げる。
「あ〜みーしゃずるい〜」
2番目の娘、ナーシャがムウにかけよる。
するとムウはミーシャをおろし、今度はナーシャを抱き上げる。
「ナーシャは悪魔っ娘(こ)か〜」
ナーシャは尻尾と頭に二本の角と、
背中に黒い羽根がついた黒いワンピースをきている。
サラはムウの前に来て
「Trick or treat!!」
というと、ムウはぽんと急に手をたたき、思い出したように
自転車のかばんからカラフルなお菓子を取り出した。
「じゃぁ〜ん♪ほら、お菓子だよ〜」
3人の娘に配る終えると、サラをひょいっと抱き上げた。
「うわぁ、ぱぱ、恥ずかしいよぅ。」
ムウに抱き上げられながら、顔をほんのり赤くしながら言った。
「うん、3人ともかわいいなぁ〜さすがマリューと俺の娘たちだぁ♪」
その笑顔はマリューの想像通りのとろけそうな笑顔だった。

その夜、3人の娘たちが寝静まった後、
ダイニングで片づけしているマリューの後ろに黒い影が。
「Trick or treat!!」
そういいながら、ムウは背後からマリューに抱きつく。
「んもぅ、おかしはさっきみんなでたべたでしょ?」
「う〜ん、お菓子より、マリューを食べたい…」
その言葉に、マリューはくるっとムウの方に向き直り、ぽんっとお腹をさする。
「この子が出てくるまで、もう少し我慢ねv」
ちょっとがっかりしたような複雑な顔をし、
ぱっと何か企んでいるような笑みに変化した。
「まりゅーくれないなら、いたづらしちゃうぞぉ〜」
そう言い放つと、マリューをきゅっと抱きしめて、そっと唇を交わした。



ちょっと、言霊さまが降りてきてくれたので勢いで。
ハロウィンネタで攻めてみました。

設定としてはこんな感じで。
長女:サラ   金髪碧眼 6歳   
 まま、ぱぱとも大好きだけど、甘え下手
次女:ナーシャ 茶髪茶眼 3歳   
 あね大好きおしゃまで気分屋
三女:ミーシャ 茶髪茶眼 (双子妹)
 ぱぱが溺愛もちろんぱぱ大好き
長男:ルウ   金髪碧眼 腹の中 
 ままが溺愛もちろんまま大好きやわらかおっぱい大好き

ちなみに、サラたんは一応お手製のかぼちゃランタンを持ってて、
くろねこみみ、くろねこてくろねこしっぽで妄想よろ〜
(身は3人とも共通の黒ワンピースで)
あっ、かぼちゃ色のハロってのもいいかも〜