ばーすでぃぷれぜんと


「よっと…」
ムウがはいはいしだした娘を抱き上げる。
愛娘は少し驚いた表情をしたが、
直ぐに嬉しそうに微笑んだ。

「お〜ごっきげんだな〜」
と娘のほっぺたをぷにぷにとつっつくと、
娘はその指に手を伸ばす。

「マリュー、遅いな、何やってるんだろうな〜」
と、娘から視線をはずすと、
まるで"そっぽむかないで"と主張するように、
ムウの指をきゅっと握る。

「よし、ママ呼びにいこうっ」
そんな娘に視線を返し、抱っこしながら居間を出た。

こつこつと階段を上がりながら、
「マリュー?」
と中々出てこないマリューへ問いかけると、突然愛娘が
ムウの言葉を真似て、声を発した。

「あゅぅ〜」

 "んっ?"
最近、娘は良く笑うし、良く喋るようになって来た。
しかし、"あぁ〜"とか、"んぅ〜"とか、そんな感じだった。

「おい、今、マリューって言ったのか?」
と、娘に向かって、尋ねると、再び、
「あゅぅ〜」
といった。

そうなったら、居ても立ってもいられない。
娘を落とさないようにしっかり抱きなおしてから、
一目散に彼女の居る部屋に向かった。

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一方マリューはムウと娘と誕生日を祝うために
出かける準備をしていた。
着る服は選んで、ぱたぱたとお化粧をしている最中だった。

すると、ドドドドと、部屋に向かってくる足音が聞こえる。
「ムウ、ごめんなさい、後ちょっとだわ〜」
と外の足音に話しかけるが、
すごい足音はそのままドアを開けて入ってきた。

「マリュー、あのな、あのな〜」
ちょっと息を整えながら、娘をみやると、
娘も同時に喋りだした。

「あゅぅ〜!あゅぅ〜!」
無邪気に、ムウの指をきゅっと握りながら、笑っている。

娘の声をきき、
「えっ?もしかして、私のことを呼んでくれているの?」
とムウに問いかけると、嬉しそうに

「うん、多分、そうだと思うよ」
といいながら、"んしょっ"と抱っこしなおす。

「ほら、マリューって」
娘を抱きなおして、マリューの名前を呼びながら、
マリューに娘を抱っこさせると、
マリューに向かって、「あゅぅ」と呼んだ。

「…本当に?」
ちょっと、マリューの目がうるうるしてきて、
ムウは"なみだ目も可愛いな"なんて思いながら、
娘を抱っこしているマリューの後ろに回り、二人を抱きしめる。

「よかったな、コレって、最高の誕生日プレゼントじゃない?」
と言って、娘と妻のほっぺにそっとキスを落とした。

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しあわせそうな家族の肖像。
ムウさんは娘が出来たら絶対溺愛しますよ。

虎マリュなんかに囚われないで、
とりあえず、妄想路線を突っ走ろうかと思います。
ムウマリュ万歳。

中々降りてきてくれない気まぐれ言霊さまが、
皆様の作品に触発されて、やっと降りてきました…。

↓もしお気に召したら、拍手でも打ってやって下さい…。
 ※10月末までご自由にお持ち帰りくださいませ〜