マリューの実家に愛娘を預けて、久々のデートを楽しむ。
季節はバレンタインで、どこもかしこも恋人たちで
溢れかえっている。
子供が出来てから、そうふたりだけで出かける事もないが、
かといって、子供がいても子供と三人ででいちゃいちゃしてるから
"ふたりだけ"のデートといっても、娘がいない事が少し寂しい。
「ねぇ、ムウ。あの子ちゃんといい子にしてるかしら…。」
「う〜ん、やっぱり気になっちゃうよなぁ…。」
ふたり手をつなぎながら、どこかうわの空。
天気も良くて、最高のデート日和なのに
最近話題のデートスポットに来ていてもふたりの中で
愛娘がどうしているか気になってしまい、
折角の"ふたりだけ"なのに、そんな事は
どうでも良くなってしまったようだ。
「ねぇ、もうもどろっか。」
「ん、そうしよっか。なんかやっぱり気になっちゃって…」
ふたりで、顔を見合わせ、微笑みあう。
車でデートスポットを出て、家路に着くと、
携帯にマリューの母からメールが。
"久々にふたりきりなんだから、ゆっくりしておいで"
その文面を見て、マリューは少々苦笑する。
その苦笑に運転するムウが気付き、
「どした?」
と彼女に声をかける。
「ん、ママがね、"ゆっくりしておいで"って」
苦笑しながら答えると、ムウもつられて笑った。
「君のママにもう懐いちゃったのかな?
それとも、俺たちに気を使ってくれてるのかな?」
「家出るときはぐっすり寝てたから、
どうなのかしらね…。懐いてくれればいいわね〜」
そんな会話を交わしているうちに、
マリューの実家にたどり着いた。
車を止め、ふたりでマリューの実家のドアの前に立つと、
かすかに子供の泣き声がする…。
「…………」
「…………」
ふたりで顔を見合わせ、一目散に、ドアを開け部屋に入る。
すると、リビングでマリューのママが必死にあやしてる姿が見えた。
その腕の中には、号泣している愛娘の姿が…。
マリューのパパはどうしていいのかおろおろとしていた。
その光景を見て、マリューとムウがふたりで娘に駆け寄り、
マリューがママから娘を抱き取ると、愛娘が少し大人しくなった。
マリューが娘を抱っこしながら、ムウが愛娘の涙をガーゼで拭うと、
さっきまで号泣してたのがうそのように泣き止んだ。
まだ鼻をぐずぐずさせながら、親指をしゃぶり出した。
ムウが嬉しそうに頭を撫でると、抱っこしているマリューの胸元に
顔を埋め、甘えはじめる。
「さっきまでご機嫌だったんだけど、急に泣き出しちゃって…」
マリューのママがすまなさそうにマリューに声をかけると、
ムウは愛娘の頭をよしよしとなでながら、
「大丈夫ですよ、子供は泣くのも仕事ですから〜なぁ〜」
と娘のほほをぷにぷにつつきながら笑顔で返す。
「あっすいません、ちょっとキッチン借りてもいいですか?」
と、ムウがマザーバックから哺乳瓶とミルクを取り出し、
マリューのママとともに、キッチンに向かう。
マリューはそんなムウを見守りながら、
慣れた手つきで娘のオムツを替えるとまた娘を
抱っこし、あやしながらキッチンに向かう。
キッチンに入ると、ムウが慣れた手つきでミルクを作っている。
マリューのママはやかんからポットにお湯を入れている。
ムウがキッチンに入ってきたマリューと愛娘に気付くと、
「なぁ、温度このくらいでいい?」
とマリューのほっぺたにぴたっと哺乳瓶をくっつける。
「ん、もうちょっと高いかも。」
とマリューが愛娘をムウに抱き渡すと、少々水を足し、
今度はマリューがムウのほっぺに哺乳瓶をくっつけた。
「どう?」
「ん、大丈夫そうだね♪」
と、愛娘のほっぺにもくっつける。
ふたりで顔を見合わせて楽しそうに笑うと
愛娘もそんなふたりを見て、楽しそうに笑った。
そばで見ていたマリューのママは
ムウとマリューと愛娘の幸せそうな姿を見て、
"こりゃぁ〜お邪魔しちゃいけないわねぇ〜"
とつぶやきながらリビングへ戻っていった。
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ふたりで哺乳瓶ほっぺたにくっつけてる。
そんな情景が突然夢に出てきてしまいました…。
あかちゃんとマリュさんとムウさんは
基本的にラヴラヴし始めると回り見えません。
ムウと赤ちゃんがお風呂入っているときとかに
マリューさんのママに、"全く、アツアツねぇ"
とか言われて、真っ赤になってしまう
マリュさんが予想されます。
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