
茶色の髪の毛、茶色の瞳の少女がコスモスの花園を走っていく。
「ぱぱぁ〜、ぱぱぁ〜」
大きな人影が、その少女を抱き上げ、名前を呼ぶ。
「マリュー……」
大きな人影が、今一番愛しい人の顔に見える…。
「おはよ、マリュー」
目をうっすらと開くと、蒼い瞳が目に入った。
澄んだ海、いいえ、空の色だ。
「おはよう、ムウ」
言葉を返すと同時に、おはようのキスを交わす。
「まだ眠い?」そう彼が問うと、彼女はつぶやくようにいった。
「夢を見てた…まだ私が小さい頃の夢。」
「へぇ〜、小さい頃もやはり今のように綺麗だったの?」
「私はまだ幼くて、父にいろんな事を聞いたわ。」
「そっか、マリューはお父さん子だったのかな。」
「そうね、そうかもしれないわね。」
「で、どんな夢だったの?」
「父と二人でお花畑の中にいたの。私は父といられること、
ときれいなお花に囲まれて、嬉しくて、そのお花畑の中で走り回っていたわ。」
「どんな花だったの?」
「あまり良く憶えていないけど、
紫やピンク、オレンジのお花もあったと思うけど。」
「でね、父の所まで走って行ったら、父が抱き上げてくれたの。
でも、気が付いたら、あなたの姿に代わってた…。」
「あ、マリューの夢に出てきたの?俺。」
その言葉に、嬉しそうにマリューを見やる。
「ちっちゃい頃のマリューかぁ〜きっとものすごく可愛いだろうなぁ。」
ニコニコしながらマリューの額にキスをする。
ふたりでベットの中でいちゃついていると、
10時の時刻を告げる、柱時計の音が聞こえてきた。
ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、
ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん、ぼぉ〜ん
すると、ムウが何か気付いたようにマリューを見つめる。
「どうしたの、ムウ?」
「マリュー、お誕生日おめでとう。今日は誕生日だったよね。
俺の夢、見てくれてありがと。」
また、彼女の瞳にキスをひとつ落とした。
なっかなか自分の思い通りの夢は見られないということで。
何かなかなかうまくかけないや…。(;´д⊂)
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