女房酔わせた顛末

「ねっ、そっち側行っても良い?」

奥様が彼の隣にちょこんと坐る。
彼もそっと抱き寄せて軽く耳に
キスしようとしたところで、
ふたりの耳をつんざく声が聞こえた…。

"うぇ、マジかよ…"
しこたま飲んでやっとの思いで
これからお楽しみが始まると思ったのに…
と思い彼女を見やると、すでに
鳴き声の元によろよろと歩いている。

まあ、まさかそのままにして
おっぱじめるわけにも行かず、彼も後に続く。
彼女がだっこすると幾分鳴き声は小さくなった。

手慣れたしぐさでおしめを換えると、
はっとして動きが止まる。

「ん、どうかした…?」
と彼が尋ねると、少し顔を赤らめて、

「ねえ、ムウ…ミルク頼めないかしら…」
さすがに泥酔状態でおっぱいをあげるのは
確かに良くない気がする…。
彼女の言葉に快諾するとすぐさまキッチンに向かう。

彼ももう手慣れたものだ。
人肌に温めたミルクを持って、
愛娘と妻の居た部屋に戻る。

"………"
すっかり静まった部屋の中心では、
愛娘と一緒に、ぐっすり眠る妻の姿があった…。

もう、頭を抱えるしかないよな…。はぁ…。

旦那さんはふたりにそっと毛布をかけ、
そのお隣にねっころがるのだった。