女房酔わせて。2

暗に"誘われた"と考えて良いのだろうか。

冷蔵庫からビールを持ってきて、
お互いのグラスに注ぎ始める。
彼女はそれを嬉しそうに見守っている。

そういえば、最近子育てに忙しくて
二人でゆっくりお酒を飲んだりする事も無かったな、
何て思っていたら、

「そういえば最近、二人で飲んだりしてなかったわね。」
と注いだグラスと彼を見やりながら彼女が微笑む。

「お姫様が生まれてから、いろいろとご無沙汰だよな〜」
そういいながら、グラスを合わせて乾杯する。

「「カンパーイ」」

「って何にだよー」
とおどけながら飲み始める。

「最近夜も泣かなくなったし、
 そろそろあなたも退屈してるんじゃないかと思って。」
グラスのビールを半分ほど飲み干した彼女が微笑む。

「だから、酔わせて欲しい、とか思ったりしたの?」
「そうね…。酔うかどうかは分からないけど、
 ムウとまた恋人同士みたいに戻ってみたいの。」
さっきとはまた違う、妖艶な笑みを溢す。



ビール3本、ワイン2本、ウィスキー…。
朦朧としてきた意識。
しかし、目の前にいる彼女はロックアイスをカランと揺らしながら
ウィスキーを美味しそうにあおっている。

忘れてた。彼女、蟒蛇だったんだ…。