酔わせて

食事も終わって、二人が一息ついた時、
ふとしたCMが目に入る。

"女房酔わせて、どうするつもり…?"

彼がそのCMに目を奪われていたら、
彼女がくすりと微笑んだ。

「…変なこと考えないでくださいね。」

「ん…、変なことって、なんだよ……。」

少々ぷーたれている彼を見て、
彼女はクスクス笑い、"別に〜"といいながら、
愛娘の様子を見に行ってしまった。

しばらく手元のビールを飲みながら、
愛娘の元に入って戻らない奥様の様子を見に行こうと
のそりと立ち上がろうとすると、
愛娘を抱き上た彼女がやってくる。

奥様の腕に抱かれた愛娘は、指と愛用のタオルを握りながら、
とろ〜んと眠そうな眼。

そんな姿を見ると、彼も奥様のそばで愛娘を抱っこしたくなる。

そばに寄ってきた旦那様に"し〜っ"といいながら
にっこりと微笑みながら、愛娘愛用のベットまでふたりで運ぶ。

すぅすぅと寝息を立てて眠る娘に、軽くキスをして、
元いた場所に戻る。


「でさ、一緒に飲まない?」

と奥様に話しかけると、くすくす笑いながら、

「…女房酔わせて、どうするつもり…?」

ふたりで顔を見合わせながら、笑いあった。