
ムウ一家のおふろは家族みんなではいれる程広い。
だから家族皆で入る。
お風呂に入るときも出るときも、それは大変な騒ぎになる。
「ムウ〜ルウをお風呂に入れちゃって〜」
「よしきた。ルウ、どこだ〜」
と、ルウを探しにリビングを出ると、
玄関先でどろんこになっている、ルウがいた。
マリューがやれやれといった顔をしながら、
ルウの顔をタオルで拭いている。
ムウはルウの前にしゃがみこむと
「またぁ〜派手に汚したなぁ…」と苦笑する。
当の本人はあっけらかんと「えへへ」と笑う。
そして、どろんこのままマリューに抱きつこうとする。
ムウは慌てて「あっ、こら、やめろよ」と制止し、
いたずらっこの体を抱き上げる。
抱き上げて、ルウの頬をつんとつついた。
マリューはそんな親子の姿を見ながら、
やっぱり似てるわ、この二人と思いながら
お風呂の支度をしに三人でお風呂場まで向かった。
「まったくぅ〜どこで遊んだら
こんなに泥だらけになるんだよ〜」
なんていいながらムウがルウの服を脱がす。
その間に娘たちも"おふろ、おふろ"といいながら
脱衣所にやってきた。
「あ〜るうちゃん、またどろんこ〜」
一番上の娘のサラがルウの柔らかな金髪を撫でる。
ルウは楽しそうに笑っている。
となりで双子の娘たちがマリューからタオルを
受け取って、皆に配っている。
娘たちはそのタオルを体に巻きつけ、
ムウの後を追うようにお風呂に入っていった。
すると、お風呂からきゃっきゃっきゃと歓声が上がる。
ムウが子供たちにシャワーをぶっかけているようだ。
マリューは脱衣所で子供たちの衣服を拾い、
洗濯籠にいれながら、
"ま〜ったく、子供と変わらないんだから"
とふふふと笑いながら、洗濯機をまわし始めた。
「お〜い、マリューも入ろうよぉ〜」と、
ムウがお風呂場の入り口から顔を出した。
すると、子供たちが真似て、
「お〜ぃ、まゆ〜もあいおよぉ〜」
「ままも〜」
「ね〜ままもおいでよ〜」
ムウの下にトーテムポールのように連なって
顔を出した。
マリューはその姿があまりに可愛かったので、
クスクス笑いながら、
「でも、ままお洗濯とかご飯とか作らなきゃいけないのよ。
だから、みんなではいってて♪」
と言って、洗濯籠を抱えながらキッチンにいってしまった。
「じゃぁご飯出来たら、いっしょにはいろっ」
ムウが呼びかけると、
笑いながら"ダ〜メ〜"という声が帰ってきた。
ムウがしょぼ〜んとした面持ちになると、
子供たちが、
"ぱぱ、いっしょに遊んであげるから
しょんぼりしないで〜"
といって、またみんなでお風呂に入った。
ムウはまだ幼い息子の髪の毛をわしゃわしゃ洗いながら、
マリューもいっしょに入ればいいのになぁと思いながら、
"ん、でもマリューといっしょに入ったら
お風呂だけじゃ済まされないかぁ〜"
とにやにやしていて、娘にお湯をかけられて我にかえった。
「さあ、10数えたら上がるぞ〜」と皆洗い終わり、
後は出るだけとなったら、お風呂の中での
大カウント大会の始まりだった。
お風呂から子供たちの数を数える声を聞きつけ、
マリューがお風呂場にバスタオルを5枚持ってやってきた。
「5,6,7,8,9,10!!」
10数えた後でザバ〜っという
お湯から上がる音が聞こえた。
マリューはバスタオルを開き、ドアを開けると
一目散でルウが飛んできた。
柔らかなバスタオルでふわっとくるむと
頭をわしゃわしゃと拭くと、
ルウがくすぐったそうな表情をする。
それに続いて、娘たちとムウが出てくる。
片手でルウを拭きながら、
ムウに娘たちのバスタオルを手渡す。
ムウも、それを受け取ると、マリューのように
娘たちをバスタオルでふわっとくるむ。
白いバスタオルでおおわれた子供たちを
見ながら、ムウは、
「まるで、天使みたいだなぁ〜」と笑う。
マリューも「そうね〜」と笑うと
子供たちもふふふと笑った。
子だくさんなムウマリュが大好きです。
子供嫌いな人でも、自分の子供や、
友達の子供は可愛いらしいと。
ムウもマリューも子供は絶対溺愛しそう。
そして、ムウはマリューにいろいろねだりそう。(何を?)
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